「怪奇四十面相」で怪人二十面相(四十面相)が狙うお宝は、時価数億円の金のかたまりである。
今から(小説の舞台は昭和27年)100年ばかり前に、大阪の大金持ち、黒井惣右衛門という人が隠した金塊でその価値は数億とも数十億ともいわれている。惣右衛門はその莫大なお宝の隠し場所を、四つの黄金どくろに暗号で彫り付けたという。
物語は四十面相とわれらが小林少年は、4つの黄金どくろの争奪戦とその暗号の謎解きの知恵比べを展開する。
この暗号のリズムがとても名文(?)なので、忘れずに今でも口をついて出てくる。以前にもこブログで紹介した、
「きのもりとざきどくろじま、どくろのさがんをさぐれよ、ながるるなんだのおくへと、ゆんでゆんでとすすむべし」
という言葉である。
「怪奇四十面相」は、“莫大な価値のお宝” → “魅力的な暗号解読” → “絶海の孤島での大冒険”→ “大立ち回り” → “大団円” まさに、江戸川乱歩少年物のフルコースのような作品で、その上実にまとまりのよい作品に仕上がっている。乱歩充実の一作だと思う。
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