明智小五郎といえばおしゃれでダンディ、洋行帰りのモダンガイです。少年探偵団シリーズで小林少年たちが「先生」としたう颯爽としたキャラクターで登場するのは、どうやら「蜘蛛男」が最初のようです。
「蜘蛛男」は昭和4年8月「講談倶楽部」 に発表された長編作品で、時期的には初のメジャー新聞連載小説「一寸法師」の失敗(乱歩的には)で嫌気がさしての休筆から復帰を果たし、その後「陰獣」「孤島の鬼」「芋虫」「押絵と旅する男」「虫」といった代表的な傑作群と同じ頃です。
また明智小五郎の登場作品としては「一寸法師」以来で、好調の波に乗って明智小五郎のリニューアルも一気に着手したということでしょうか。
作品中で明智小五郎は以下のような描写で登場します。
詰襟の麻の白服に白靴、まっ白なヘルメット帽、見慣れぬ型のステッキ、帽子の下からは鼻の高い日にやけた顔、指には一寸も幅のある大きな異国風の指環、それに大豆ほどの石がキラキラと光っている。背が高くて足の格好がよいので、ちょっと見るとアフリカか印度の植民地で見る英国紳士のようでもあるし、また欧洲に住みなれた印度紳士といった感じもするが、その実日本人であることは間違いない。今しがた通りがかりの郵便配達に「この家は有名な犯罪学者の畔柳さんのお住いですか」と、ハッキリ日本語で尋ねたほどだから。
(以下、略)
明智は「一寸法師」の事件の後、シナから印度へ旅に出て、このシーンで3年ぶりに帰国しました。いわば伝説のヒーローとして再登場したのです。以前の講釈師神田伯竜に似た、棒縞の浴衣を着て髪を掻きむしる金田一耕助型のヤボ探偵ではありません。
ここから“ヒーロー明智伝説”がスタートするわけですね。
今丁度「蜘蛛男」を読んでいるところです。
学校である朝の読書の時間に読み進めているのですが面白くてなりません。
まだ明智先生が出てくるところまで行ってませんが、これを知って楽しみが増えました!ありがとうございます!
投稿情報: 青 | 2005-10-22 01:11
青さん
コメント感謝です。「蜘蛛男」での明智は、殺人鬼「蜘蛛男」がやりたい放題やった後に登場しますね。ぼくはオヤジなので、明智登場までの部分が大好きなんです。
投稿情報: 乱歩帳 | 2005-10-28 10:23