今、北方謙三の「楊家将」を読んでいる。もうじき上巻が終わるところだ。とにかく面白い。まあ、北方謙三だからこの手の男の物語が面白いのは当たり前だが、わくわくしながらページがどんどんめくれて行く。時代は宋の建国時期、「北方水滸伝」は北宋の末で国が腐敗していく時代だが、「楊家将」の頃の宋は溌剌としていて気持ちがいい。そして宋が国を挙げて戦う相手が北方の騎馬民族の国である遼だ。遼もなかなか魅力的で、その中でも「白き狼」と呼ばれる白髪の将軍、耶律休哥(やりつきゅうか)が素晴らしい。
今回のタイトル「死は、古い友のようなものです」は、耶律休哥の言葉。彼が鍛えに鍛えた二百騎の精鋭騎馬隊で楊家軍三千騎に当たる時の決意を遼の太后の前で淡々と述べる。
「軍人でございます、私は。死は、古い友のようなものです。それより、私に出動の機会を与えていただいたことに、御礼を申し上げます」
これはシビれる台詞だ。ますます下巻が楽しみだが、読み終わってしまうのが惜しくもある。
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