乱歩の少年物第2作である「少年探偵団」は昭和12年1月から『少年倶楽部』に連載されました。
この作品で怪人二十面相が狙うお宝は篠崎始君のお父さんが秘蔵する大きな宝石。一昨年支那へ行った時、上海であるイギリス人から買い取ったいわく付きのお宝です。そのいわくというのは、以下のように書かれています。
この宝石はもとは、印度の奥地にある、ある古いお寺のご本尊の、大きな仏像の額にはめ込んであったものだそうだ。始は学校で教わったことがあるだろう。白毫というものだ。(中略)ある時そのお寺の附近の印度人が、暴動を起こした。そこでイギリスの印度駐屯軍が、それを取りしずめるため為に派遣されたのだが、そのイギリス軍の一人の士官が、戦いのどさくさまぎれに、かねてから目をつけてた仏像の白毫を、奪い取ってしまった。それが廻り廻ってわしの手に入ったこの宝石なのだ。(中略)そこで、大切な仏像を汚し、殿様の娘の命を奪ったイギリス人を、仏さまになり変わって罰することが決議され、部落を代表して、恐ろしい魔術を使う命知らずの二人の印度人が、遥々イギリスへ送られ、執念深い復讐が始まった。
(以下、略)
この時代、不思議な魔術を使う神秘的な怪人といえば印度人なんですね。面白いですね。僕たちが育ってきた懐かしい時代のお話です。
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