今日久しぶりに読んでみた乱歩のデビュー作「二銭銅貨」はこんな話。
登場人物は金のない二人の若者、私と村松武。
芝区の大きな電機工場で五千人分の職工給料である約五万円が盗まれる。
警察の捜査で犯人は逮捕されるが盗まれた五万円の在りかが依然不明。犯人は黙して語らない。
そこで謎解きが始まる。
村松はある日、煙草屋でつり銭にもらった二銭銅貨を手がかりに見事犯人が隠した五万円の隠し場所をつきとめる。
1)二銭銅貨は2つに割れる。
2)中には1枚の紙切れが入っていた。
3)紙切れには「南無阿弥陀仏」を組み合わせたような文字の羅列。
4)苦心の末、点字の文字列から暗号の解読に成功。
5)ゴケンチヨーシヨージキドーカラオモチヤノサツヲウケトレウケトリニンノナハダイコクヤシヨーテン。
という話だが実はこれは私が村松に一杯食わすため仕組んだトリックで、おもちゃのお金は本当におもちゃのお金であったわけ。
要するに「二銭銅貨」は貧乏人の暇つぶしのお話。でも乱歩自身が探偵小説に手を染めたのも実は貧乏で暇だったからであったわけでしょう。
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