気が付けば、2月も終わり。ブログは1月の頭から更新していない。このままでは2月が投稿なしになってしまう。っで、とにかく書くことにした。
今、「緑衣の鬼」を読んでいる。俺はこの作品が結構好きである。この作品は乱歩のなかでもいわゆる翻案小説というもので、つまり原作が他にある。それを乱歩が自分の好きなように弄繰り回して発表したものだ。この時期、乱歩は超売れっ子作家で、なおかつ慢性的にトリックが枯渇していた。本当はトリックなんか凝ってなくても、乱歩作品は十分に魅力的なのだが、本人はそうは思っていない。とくに青年物(少年探偵団ものではない作品)では、いつも強烈なプレッシャーを感じていた。というわけで、「緑衣の鬼」は、イーデン・フィルポッツの「赤毛のレドメイン家」を下敷きにして執筆されたわけだ。
そう聞くと、読者の皆様(?)には、なんとなく邪道感があるかと思うが、「緑衣の鬼」に関して言えば、フィルポッツの背骨に、乱歩の目鼻がついた造形の妙が素晴らしい。「緑衣の鬼」において、乱歩はトリックとか筋書きに気を病むことなく、書きたいところだけを書いたのだ。だからこの作品には、初期の怪奇で幻想的でエロティックな短編に匹敵するドキドキがある。
まだ、再読の途中なので、本日はこんなところでご勘弁。3月に入って、読み終わって、じっくりこのあたりの、美味しいところを書いていきたい。
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