今回は有名な少年探偵団が誕生する場面を紹介しましょう。少年探偵団は江戸川乱歩の少年物第1作「怪人二十面相」(昭和11年1月『少年倶楽部』)から登場します。結成のシーンはこのような感じで、ある日、明智探偵事務所に小林少年を訪ねてきた、壮二君の話から始まります。壮二君は二十面相が初めて襲撃した羽柴家の次男で、ロマノフ王朝のダイヤモンドをまんまと奪って逃走する二十面相を罠にかけた、知恵と勇気あふれる少年です。彼は小林少年にこういいます。
「あのね、いつかの事件の時から、僕、君を崇拝しちゃったんです。そしてね、僕も君のようになりたいと思ったんです。それから、君の働きのことを学校でみんなに話したら、僕と同じ考えのものが十人も集まっちゃったんです。
それで、みんなで、少年探偵団って会を作っているんです。無論学校のおさらいやなんかの邪魔にならないようにですよ。僕のお父さんも、学校さえ怠けなければ、まあいいって許して下すったんです。
今日は日曜でしょう。だもんだから、僕みんなを連れて、君ん家へお見舞いに来たんです。そしてね、みんなはね、君の指図を受けて、僕達少年探偵団の力で、明智先生の行方を探そうじゃないかっていってるんです」
(以下、略)
ということで、壮二君が小林少年に紹介した10人は、みんなお揃いの制服を着た、小学校上級生の、健康で快活な少年達でした。彼らはその後、小林少年の指図で周囲の聞き込み捜査(?)に出かけていきます。
これが少年探偵団の活動の始まりとなるわけです。
以降の活動はまた今度ということで。
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