7月24日に北方謙三「楊令伝」の第10巻、坡陀の章が発売になった。今読んでいる。
思えば遠くに来たもんだ。「北方水滸伝」が19巻、そしてこの「楊令伝」が10巻である。最近の新聞の広告にたしか書いてあったように思うが、「楊令伝」は13巻(12巻だったか)で完結するようだ。(その新聞広告を探したがみつからない。確かに見たように思うが実は夢だったのかもしれないなあ。)そうなったら、32巻! 圧倒的な分量だ。
それに、「楊家将」と「血涙」を加えれば36巻だ。史実だと960年に趙匡胤(ちょうきょういん)が宋を建国、その時代が「楊家将」の舞台で、今回発売された第10巻の時代設定が1126年、南宋が興るきっかけとなる靖康の変だから、実に堂々たる大河小説だ。
私が見た(ような気がする)13巻で完結とい幻が本当なら、どこまでの時代がこれから描かれていくのだろうか?
とても興味が湧いて、ウィキペディアで「南宋」と調べてみたら、これがなかなか面白そうな時代なんだな。
歴史の世界では(梁山泊のない実際の世界のことね)、金によって開封府が占領され北宋が滅亡した後、宋の皇帝欽宗の弟である趙構は南京に移って、南宋として再興した。「楊令伝」の読者にはお馴染みの岳飛・韓世忠・張俊らの活躍によって南宋は金に抵抗する。その後、秦檜が宰相に就任すると主戦論を抑えて金との和平工作を進め南宋は安定していく。
その後、金の侵略をうけるもなんとか撃退し、金の世宗、南宋の孝宗という歴史に名高い名君が、偶然にも同時に南北に立ったことで比較的長い平和が訪れた。
その後、北のモンゴル高原にはモンゴル帝国が急速に勢力を拡大し、金をそして南宋を滅ぼして、中国は元の時代となる。
結局南宋は、1127年から1279年まで約150年間続くことになる。まさか「楊令伝」をあと3巻で、150年引っ張るわけがないから、どっかで結実するんだろう。残念だが仕方がない。
ところで、いよいよ「楊令伝」の文庫版がでるらしい。今、準備中と「楊令伝」の公式サイトに出ていた。これは幻じゃあないですとも。
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