今年の本格茶藝の第1回目は、昨年台北で購入した高山茶を楽しんだ。竹の茶盤と煮水器を出して本格的にやるのは久しぶりだ。こんな時にはとっておきの茶葉を使おうということで、台北の「全省茶行」で買った上質の高山茶を煎れた。100グラムで1,800元(¥6,300位)だった。
この「全省茶行」はガイドブックで発見して行きたかった店。阿里山に茶畑と工場を持っていて完全に品質管理をしているので、良質の茶葉だけが売られているとのこと。また日本語に堪能で話し好きの女性オーナーがいるとのことだった。楽しみにしていた。
場所はMRTの民権西路駅から歩いて10分位、地図を見ると台北の中心部からやや左上という位置。夕飯前にホテルからタクシーで出かけた。話し好きの女性オーナーのイメージは、前に行った「奇古堂」のマダムのようなセレブ風を想像していたのだが、全然違った。なんというか“じゃりんこチエ”のような感じ、それがタバコをスパスパ吸いながら、べらんめぇ口調で良くしゃべる。茶畑を持っていない茶店はだめだとか、品質はうちの店が台湾で一番だとかまくしたてる。こちらは夕食前で元気がないから叱られているような気分になる。「お薦めは何?」と聞くと、凍頂烏龍茶(100グラム1,000元)と高山茶(100グラム1,800元)を薦めてくれた。凍頂烏龍茶は試飲可能ということで、試してみたが香りはよいが後味がキツく好みではない。高山茶の試飲をお願いすると、「高いからだめ、買うなら試飲させてやる」という。
それは果たして試飲なのかと思いつつも、腹も減っていたので、やけになって買うから飲ませろという。“じゃりんこチエ”は封を切って、大量の茶葉を茶壷に入れて湯を注いだ。(これは俺の茶葉じゃないか、もったいない)。確かに凍頂烏龍茶よりも旨い。ただ茶葉の量が多すぎるのか俺には濃すぎだ。まあいい。といってご購入にあいなった。ただ最後、会計の時に1,000元札を2枚出すと、「おつりがないから、代わりにこれをサービスしてやる。これで私は100元の損だけど」と徳用袋入りの凍頂烏龍茶(300元)をよこした。どこまでも強力なおばちゃんである。
っで、想い出深い「全省茶行」の高山茶をいただく。茶葉は茶壷の底が隠れるくらいの少量である。よい香りである。そして甘みがあって旨い。俺はようやく“じゃりんこチエ”の幻術が解けて行くような感じがした。これぞ新年の茶藝であった。
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