今、5巻目を読んでいる。月刊誌『文藝春秋』の連載が単行本として刊行を開始したのが、2004年の10月。この年に1巻~3巻、そして1年お休みして今年の秋に4巻と5巻。雑誌の連載が単行本1冊分溜まると、刊行する。漫画誌の連載とコミックの関係と一緒ですな。
第1巻のスタート時点が、従来の「三国志」じゃあ考えられないくらい手前の時代、後漢の中期で最新の5巻の時代が「官渡の戦い」(紀元後200年。曹操が旧勢力の巨頭である袁紹を滅ぼす合戦)で、まだ呉も蜀も形を成していないし、諸葛孔明も出てこない。先日たまたま読んだ『文藝春秋』9月号で有名な「三顧の礼」だったから、先はべらぼう長い。アマゾンの書評の中で最後まで書くと全何巻で完結するのか試算した人がいて、なんと17巻(!)。毎年1冊のペースであと11年くらいかかる。ご愁傷様な気分だ。
この宮城谷三国志は、三国志マニアが皆待望していた企画だろうと思う。吉川英治、柴田錬三郎、陳舜臣、そして最近では北方謙三。漫画では横山光輝、そして「蒼天航路」や「天地を喰らう」などなど。皆、自分が育った(育ててもらった)三国志があって、各自の頭の中にはその人それぞれの「三国志メタファーの素」が詰まっているはずなんだが、じゃあ宮城谷昌光の三国志はどんなだろうってね。
宮城谷がずっと追求している中国史の偉大な英雄達を理想という箱のなかにぎっちりと詰め込んでいくような、内省的で分析的な筆致で描かれた、新しい曹操や劉備や関羽を読んでみたい。ドラマはあっても評論はない今までの血沸き肉踊る三国志ではなく、多少は地味で退屈でもドキュメンタリーみたいな三国志が読んでみたい。何故なら俺は三国志の有段者だから。
今の5巻を読み終えてしまうと、6巻と7巻はたぶん再来年まで出ないんだろう。そうすると「赤壁の戦い」で俺は何歳だ?
その後、「五丈原」ではいくつだろう。というか、三顧の礼で孔明を迎えた劉備は俺と同じ歳か。ますます親近感がわいてきたぞ。ゆっくり丁寧に読んでいくことにしよう。
コメント