乱歩の少年物のなかでも人気の高い作品である「青銅の魔人」には、「皇帝の夜光の時計」というお宝が登場する。全身機械仕掛けの怪人はその不気味な姿を街中にさらしながら、時計を次々と盗んでいく。それもありふれた時計ではなくて、高価なもの由緒あるもの、珍しいものばかりを。
その青銅の魔人が狙ったお宝時計こそが、皇帝の夜光の時計。この時計の持ち主は手塚龍之助。戦前は大金持ちであったが、現在では困窮しいろいろな財産を手放してしまっていた。しかしそのなかでも、皇帝の夜光の時計だけは大切に所蔵していた。それはユーロッパの小国の皇帝が愛用していたという大型の懐中時計だった。
以下、引用する。
機械がよくできているばかりではなく、がわのプラチナにはみごとな模様が彫刻してあって、それにダイヤモンドや、そのほかの宝石が無数にちりばめられ、時計というよりも、一つのりっぱな美術品なのです。無数の宝石のため、暗やみでも虹のような光をはなつというので、この時計は「皇帝の夜光の時計」と名づけられていました。
(以下、略)
手塚龍之助氏はこのお宝を青銅の魔人から守るために、名探偵明智小五郎に依頼をすることになる。
懐中時計は情緒がありますね。以前パーティーの引き出物でもらったことがあり、一時愛用してました。
全身に時計をぶら下げた(でしたっけ?)怪人なんて、機械好きの乱歩らしい造型ですよね。
投稿情報: スルメ | 2007-01-10 00:08
スルメさん
コメント感謝です。
やはりスルメさんも全身に時計をぶら下げたところに食いつきましたね。僕も乱歩もよく考え付いたなと笑いながら読みました。
そういえば先日広島のデパートでロレックスがごっそり盗まれました。青銅の魔人のしわざじゃないでしょうけれども。
投稿情報: 乱歩帳 | 2007-01-11 16:41
はじめまして管理人様、青銅の魔人でたどりつきました。私、東京タワーと同じ歳です、どうぞよろしく御願いします。 実は最近ふと、そう言えば「わんぱく探偵団」って言う白黒アニメを40年程前に夢中で見たなぁと調べてみると、DVDボックスが出ているじゃありませんか。早速購入してみると、その中の第7話が青銅の魔人で、全身に時計をぶら下げた魔人が登場し、さらにどうやったかは出てきませんが銀座の大時計を盗むと言う大胆なシーンが有りました!!当時ポプラ社刊の本も全巻持っていたんですが、まるで覚えていません。本の中でも大時計を盗むか何方か御存知でしょうか?凄く気になります。所で、わんぱく探偵団の内容ですが20面相のダンディズムが光ります。 若山源蔵さんの渋い声の20面相が何故か一番好きだったような記憶もあります。 長くなりすいません、それではまた。
投稿情報: canopy | 2007-02-05 12:01
canopyさん
コメント感謝です。canopyさんは東京タワーと同じ歳ということですから、私より少し先輩ですね。まさしく少年探偵団のリアルタイムですね。若山源蔵が怪人二十面相の声を演じていたということを私は初めて知りました。機会があったら聴いてみたいものです。
今後ともよろしくお願いします。
投稿情報: 乱歩帳 | 2007-02-27 22:15