私のHPである「東京下町乱歩帳」のなかにコーナーだけ作って未だに工事中の場所があります。その名を『怪人二十面相お宝美術館』。
当初の企画では二十面相が盗んだ稀代のお宝をビジュアル付で紹介しようというものだったわけですが、勿論問題は“ビジュアル付”にあるわけで、これについては当時練習していたアドビイラストレーターが十分に上達してダイヤモンドとか五重塔なんかをヘタウマなタッチで入れていく予定が、見事に挫折。結局構想から5年たった今も、「只今下町散策中 。完成までしばらくお待ちください」となっています。
今回、5年越しの企画をブログに変えて実現してみようと決意いたしました。当然、乱歩の少年物第一作である「怪人二十面相」からスタートです。そして記念すべき(?)第1回は、『ロマノフ家の大金剛石』です。
実業界の大立者である羽柴壮太郎氏のもとにある日、怪人二十面相から次のような予告状が届きます。
「余が如何なる人物であるかは、貴下も新聞紙上にて御承知であろう。
貴下は、嘗てロマノフ王家の宝冠を飾りし大金剛石六顆を、貴家の家宝として、珍蔵せられると確聞する。
余はこの度、右金剛石を、貴下より無償にて譲り受ける決心をした。近日中に頂戴に参上するつもりである。
正確な日時は追ってご通知する。
随分御用心なさるがよろしかろう」
(以下、略)
このお宝はロシヤの帝政没落の後、ある白系ロシヤ人が、旧ロマノフ家の宝冠を手にいれそのダイヤモンドだけをとりはずして、支那商人に売り渡したのが、廻りまわって、羽柴氏に買い取られてということで、価にして二十万円という貴重な宝物だそうです。大豆程もある、実に見事な金剛石と書かれています。
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